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ドクターズコラム

ドクターズコラム

2021.10.13

カテーテル手術のメリット・デメリット

心臓病の治療のひとつに、手首や足の付根からカテーテルと呼ばれる細い管を血管に通し、血管内から治療を加えるカテーテル手術があります。この記事ではカテーテル手術が必要なケースや手術のメリット、デメリットについて説明します。

<目次>
1.カテーテルとは
2.カテーテル手術を行う病気
3.カテーテル手術のメリット、デメリット
4.当院でのカテーテル手術事例
5.医師からのアドバイス


カテーテルとは

カテーテルは血管の中に挿入していく医療用の管のことで、柔らかく、ストローのように中空になっています。太さは2~4mm程度です。循環器内科や脳神経外科のほか、幅広い診療科で使われていて、検査のみを行う場合と、手術的な操作を加える場合があります。特に心臓血管の治療では開胸手術をすることなくカテーテルで治療ができるので、患者負担を小さくすることが可能になりました。

カテーテル手術を行う病気

循環器内科においてカテーテル手術の対象になるのは心臓の冠動脈、鎖骨下動脈、腎動脈、腹部の動脈(腸骨動脈)、下肢の動脈など全身に及びます。動脈に対してのカテーテル手術では、動脈硬化により狭窄した部位を広げたり、完全に閉塞してしまった部位を再開通させることが多く行われます。バルーンによる拡張やステントという金属製のメッシュで作られた管を挿入することが中心ですが、レーザー照射や石灰化を破砕する装置などが使用されることもあります。

カテーテル手術のメリット、デメリット

<安全性・メリット>

カテーテル手術は薬物治療に比べて確実な効果が得られやすいのが特徴です。外科的手術と比べると傷口がほとんどなく体への侵襲(負担)が少ないため回復が早く短期間の入院ですむのが大きなメリットです。

<リスク・デメリット>

体への負担が少なく傷口のほとんどないカテーテル手術ですが、血管内から手術的な操作を加えていきますので、数千件に1件程度は後遺障害が残ったり生命にかかわるような重大な合併症が起こりえます。合併症は外科的手術と比べて同等または少ないことがほとんどです。カテーテル手術を行った後は数%程度に再狭窄や再閉塞が起こり再治療が必要になることがあるため定期的な検査や通院が必要になります。

<カテーテル手術に痛みはある?>

通常は局所麻酔のみで行います。麻酔注射やカテーテル挿入時に痛みを感じることがあります。カテーテル手術中に血流の状態が変化すれば痛みなどの症状が出ることもあります。それほど強いものではないことがほとんどです。

手術実績について

これまで個人では20年以上に渡り2000件以上のカテーテル手術を行ってきました。

<2020年1月~12月の実績>

カテーテル手術 76件(冠動脈治療46、下肢・その他の血管治療30、同時に行った造影検査等を含む)

カテーテル検査 48件(造影検査、血流予備量測定など)

重大合併症の発生はありませんでした

医師からのアドバイス

心臓の病気や血管の病気は、狭心症や閉塞性動脈硬化症といった同じ病名であっても個人の病状には大きな違いがあります。カテーテル手術を含めてどんな治療が適切であるのか、どのような手術で治すことができるか等は、精密な検査を行ってみなければわかりません。また、病院やドクターによっても診断や治療の方針が異なることもあります。お悩みの方はお気軽にご相談ください。


院長・医師 藤井 徳幸